アマゾンの売れ筋バッテリーは本当に大丈夫か?


スマートフォンの普及と、そのバッテリーの持ちの悪さから急に需要が高くなったモバイル充電バッテリー。さまざまな製品がある中、最近は10,000mAhオーバーの大容量バッテリーが続々と登場しており、とくにAmazon.co.jp(アマゾン)では大容量モデルがベストセラー商品の常連となっている状況だ。しかも意外と安い。これ、買っていいの? 何か問題あるんじゃないの? ……当然ながらそんな疑問が生じてくる。

アマゾンのベストセラー商品3モデルを用意した。果たしてアマゾンの売れ筋はそれに相応しいデキなのか? 

買って損をしないように、その実力を徹底的にテストしてみたぞ!

アマゾンで人気に3つ

 

・製品① 

『cheero Power Plus 3』13,400mAh

 

・製品② 

『GSK モバイルバッテリー』12,000mAh

 

・製品③ 

『Anker Astro M3』13,000mAh

検証① 負荷テスト

どれだけの電流(A)を流せるのか。流せる電流容量は大きいほど良いが、無駄に大きすぎても充電へ使われる電流には上限があり、バッテリーも不必要に大きなものが必要となる。電流は接続する機器の充電容量の合計値以上は欲しいところ。1.0Aと2.0Aポートがある場合は合計3.0A以上必要ということだ。

検証② 容量テスト

2Aを何分間供給し続けられるのか。長時間供給できるものが大容量ということになる。定格容量との差はバッテリー容量のばらつきもあるが、仕掛けられているDC-DCコンバーターの効率によっても変わってくる。

検証③ 分解テスト

内部構造、部品を検証する。貧疎な部品が使われていないか、充電池の接続配列がどうかのほか、microUSBコネクタがしっかり固定されているかどうかもチェック。 同コネクタは小さく、挿入方向が決まっているので、無理な力が加わるとハンダが剥がれ、筐体の中に落ちてカタカタになってしまうことがあるのだ。


製品① cheero Power Plus 3(13,400mAh)

総合評価 ★★★★★(5点)

今回テストした3製品中、唯一バッテリーが直列使用(7.4V)されているモデルだ(※)。出力制御(DC-DCコンバーター)が7.4V→5Vへの降圧変換であるため、高電流に強くもっとも安定的な結果を記録した。アップル系デバイスの急速充電にも問題なく対応できる。基板から剥がれやすいmicroUSBコネクタはハンダ4個所、スルーホール穴2個所でハンダ付けされており、固定強度は普通といったところ。とくに乱暴に扱うようなことがなければ、コネクタ部がへたってくる心配はないだろう。

製品② GSK モバイルバッテリー(12,000mAh)

総合評価 ★★☆☆☆(2点)

負荷テストでは、1.63Aを超えたあたりからDC-DCコンバータの制御が飽和し、かろうじて電圧が出力されるものの発振状態となってしまった。発振状態になると出力電圧が不安定になり、充電される機器側で充電を受け入れられる供給源と判断されなくなり強制オフとなってしまうこともある。

さらに、4.2Aを超えたあたりで安全回路が働いて電源オフとなった。発振状態での充電はそのまま電源ノイズとなるため、音楽プレイヤーの音や電話の通話音声などにノイズが載る可能性がある(特にプアなノイズフィルターなら)。充電出力は2Aとなっているが、ポテンシャル的にはビミョーなところ。microUSBコネクタの固定強度はハンダ2個所のみで十分な強度であるとは言えない。

製品③Anker Astro M3(13,000mAh)

総合評価 ★★★☆☆(3点)

この製品も高負荷状態で出力が発振してしまっている。バッテリーの内部接続が3.7V並列接続では、出力電圧を5Vにするための昇圧回路が仕込まれているが、回路に十分な余裕が無いとすぐに飽和して発振してしまう(発振する手前の電流の範囲で使用すべき)。microUSBの固定はハンダ4個所だが、地の銅パターンの面積は広くない。強度は並み程度だろうか。


買うならダントツで安定性能の『cheero Power Plus 3』

さすがはアマゾンのベストセラー。製品①『cheero Power Plus 3』(13,400mAh ※実測容量8,374mAh)はそこそこ高価な買い物となるが、それに見合った安定した電流供給能力と容量がある。iPhoneなどアップル系デバイスの高速充電にももちろん対応。安心かつ気軽に購入できるモバイルバッテリーとしてオススメしたい。